9 BEST ALBUMS OF 2017 (EUROPE/US)


REPOOOOORT BEST OF 2017 (PT.2)
9 BEST ALBUMS (EUROPE/US)




9. The Sound of Arrows - Stay Free


スウェーデンのエレクトロポップデュオ、実に6年ぶりの帰還となる2作目。ドリーミーなSFファンタジー的世界観は健在。前作が宇宙旅行シリーズならば、本作はジャケットにも表されるような桃源郷のようなイメージ。すべてを肯定するような優しさと包容力を以って聴き手を勇気付けるような節すら感じます。《心配しないで/音楽が鳴ればすべて忘れられる/明日になればきっと良くなるから》と歌われる"Don't Worry"なんかもう特に、この疲弊しきった現代を生きるすべての人に聴いてほしいくらい。





8. Jessie Ware - Glasshouse


UKの女性SSWの3作目。結婚・出産と彼女の人生における大きな変化とリンクするように作品もいい感じに燻されきて、本作でまたひとつの最高点に到達したように思える名盤。特に"Selfish Love"のムード歌謡的なイントロの枯れた感じなんかもう堪りません。"First Time"も個人的にラブソング・オブ・ザ・イヤーに認定したいくらいに情感てんこ盛りで、前作で言うところの"Say You Love Me"を軽々と超えてきておったまげた。またアルバム収録曲のうち(現時点で)5曲がアコースティックバージョンとしてデラックス盤やシングルとして配信されていて、そちらも必聴です。





7. Cashmere Cat - 9


ノルウェーのトラックメイカー待望のファーストLP。程よいビート感と上物のおどけたような音使いもさることながら、何よりも叙情的なメロディーが琴線に触れまくって鬼リピ状態でした。MØとSOPHIEをフィーチャーしたタイトル曲"9"に、もはやお馴染みのコラボとなったAriana Grandeとの"Quit"(この2曲が特にお気に入り)など、特に女性ヴォーカルとの相性が抜群に良いです。





6. Gavin Turek - Good Look For You


たまたま入店した地元のスタバでヘビーローテーションの如く流れていた音楽が気になって数曲Shazamで調べてみたら全部彼女の楽曲だった、と言うことがあって、その翌日にはタワレコに走りこちらの日本独自企画盤のアルバムを手にしていました。(それから後になって彼女がTuxedoのバックで歌っていたとびきりキュートなお姉ちゃんだったことを知るという……)
USのポップス界がことごとく世相を反映するかのようにダークサイドに堕ちたようなアルバムばかりだったので、まるで一服の清涼剤のようにゴキゲンにさせてくれます。サウンド、ヴォーカル、ビジュアルの三拍子が完璧なまでに出来上がっていてもう言うことなし!





5. Thundercat - Drunk


これもどこかのオシャレな文具屋さんとかで流れていてすぐにShazamを立ち上げた記憶が……。しばらくインターネットで音楽を漁っていたけど、純粋に街中やラジオで流れている音楽にも耳を傾けてみるとやっぱりいい音楽に出会えるもんだなあ。ベースプレイの手数に思わず聴き入ってしまうんですが、"A Fan's Mail (Tron Song Suite II)"のクスッときてしまうような歌詞にいつも脱力してしまいます。《猫の暮らしは最高さ ニャオニャオニャオニャオ》と訳詞の語感もバッチリすぎてもう。可愛いすぎ。





4. Ramona Rey - Ramona Rey 4


前作より6年ぶりのリリースとなったポーランドの歌姫の4作目。前作リリース以降は現地の大学院に進学し声楽(オペラ)を学んでいたようで、元来持っていた独自のヴォーカルスタイルに磨きをかけ堂々たるカムバックを果たしてくれました。エキセントリックな一面を見せたかと思えば、嫋やかに語るような歌い口になったりと、巧みなまでに目まぐるしく表情を変えていきます。またそれらをバックで支えるミニマルな電子音も控えめながらも無駄のないプロダクションでアルバムの完成度を引き上げていて、過去3作と比べても格段の仕上がり。もっと注目されるべき逸材。





3. Ivan Dorn (Иван Дорн) - OTD


ウクライナ出身の男性シンガー、初の全編英語詞に挑戦した3作目。前作収録のDisclosure的な90sUKガラージリバイバル的アプローチの楽曲がツボにハマりすぎて動向を追いかけていましたが、ここに来て世界に照準を当ててきました。先行シングルの"Collaba"アメリカ国旗がプリントされた衣装と言う分かりやすい出で立ちで登場したと思えば、女装姿で暴れまくるという予測不可能な動きを見せていて、このヤンチャな姿こそが本来の彼のスタンスと言うかテンションなんだろうなと何だか腑に落ちた。個人的に今までアイドル歌手的な立ち位置のイメージが強かったので、そこを良い意味で裏切ってくれました。ジャズやファンクを飲み込んだ巧みなサウンドメイキングも出色の出来。この人ももっと世界的に注目されていいはずなんだけどな。。。





2. Ronika - Lose My Cool


2014年の個人的年間ベストだった前作"Selectadisc"と肩を並べるクオリティと安定感を誇る2作目。全曲ラジオフレンドリーと言いますか、どれもシングルが切れそうなほどにキャッチーで、実際に収録曲の中からミュージックビデオがいくつも制作されていて、気合いの入れようが窺えます。ダウンテンポでチルアウトな趣の"Dissolve"やラッパーのSwishaをフィーチャーした"Late Night Radio"辺りでは新境地を見せつつ、シンセサウンドをふんだんに盛り込んだポップス中心の前作と比べるとより肩の力を抜いて制作されたような風通しの良さを感じます。





1. Jeans for Jesus - P R O


(レビューはこちら) 今年ちゃんと記事として書いたの、このアルバムだけだった……。
文句なしの1位です。スイス・ベルンのオルタナ・ポップ・ユニットの2作目にして(まさかの)メジャーデビュー作。アルバムタイトルにもあるように、メジャー進出によるプロのミュージシャンとしての矜持を証明してみせたようなフルボリュームの名盤です。