BEST OF 2018 PT.3 - LATIN ALBUMS (20-11)


BEST OF 2018 PT.3 - LATIN ALBUMS (20-11)




20. Piscis Machine - Espejismo


アルゼンチン・ブエノスアイレスのエレクトロポップデュオ初のアルバム。スペイシーでキラキラな80sシンセサウンドど真ん中。vaporwaveにも通ずる空気感もありつつ、あくまで歌モノでポップにまとまった良盤。





19. De La Rivera - A La Deriva


アルゼンチン中央部の街Villa María(ビジャ・マリア)出身の3ピースバンド(2兄弟+いとこ)。3作目のスタジオアルバムとなる本作はMiranda!のAlejandro Sergiやサクソフォン奏者のWilly Crookといった燻し銀のベテラン勢が華を添えるとびきりゴキゲンでファンキーな一枚。ここでもやはり80sなアプローチが(映像参照)。





18. Los Pat Moritas - Amor Punga


アルゼンチンでチップチューン/8bitミュージックのレーベルBlipBlopを主宰するアーティスト/スタジオエンジニアのNaku Berneriによるプロジェクトの新作。Commodore 64のチップ音源を用いて作られた本作はなんとこのご時世にフロッピーディスク(!!!)でのリリースを敢行し、徹底的なまでにレトロゲームとチップサウンドへの愛を貫いた歌モノデジタルクンビアの意欲作。





17. Ibiza Pareo - Bailemos Juntas


アルゼンチン・ブエノスアイレスの女性デュオによる2作目。昨今のアルゼンチンの音楽シーンは欧米に引けを取らない洗練されたサウンドを聴かせるミュージシャンが多い印象でしたが、彼女たちの音楽からはしっかりラテンの風を感じます。フラメンコチックなギターが情熱的な"En una Cita"が来たと思えば、次の曲"Loba de Noche"でクールにドラムマシンをガシガシ鳴らすエレクトロハウスに早変わりしたりとサウンドの振り幅が面白い。





16. Lux Raptor - Tercera Dimension


アルゼンチン・ブエノスアイレス電子音楽家Marina Perezのソロプロジェクト。80年代のダーク・ミニマル的質感も覗かせるローファイで実験的な楽曲群は全て彼女自身の手で構築されたもので、Minimal Waveあたりから出ていてもおかしくないようなクオリティ。YouTubeには彼女が歌ってる後ろでシェフが料理するというキッチンスタジオでセッションライブの映像なんかもあって非常に興味深いです。





15. Juan Ingaramo - Best Seller


アルゼンチン第2の都市コルドバ出身の男性アーティスト。3作目にして自身のアルバムに"Best Seller"という大仰なタイトルを冠するほどの自信作であることはもう一聴してすぐに分かります。全8曲・28分というコンパクトさやメジャー感のある味付けのアレンジもトレンドを汲んでいてリピート必至。LOUTAやElsa y Elmarなど客演のツボの押さえどころもバッチリ。そして何より本人の出で立ちが堂々としていて本当にかっこいいんですよね(去年コルドバでお会いしましたがマジでイケメンでした……)。





14. Ava Rocha - Trança


ブラジルのネオ・トロピカリアの旗手Ava Rocha(アヴァ・ホーシャ)、もはや「映画監督Glauber Rochaの娘」といった肩書きも不要なまでに自身の音楽性を確立した3作目。全19曲のフルボリューム、参加ミュージシャンも多数で終始賑やか。ブラジルってもう広すぎてどこから音楽を掘り下げていいか本当に分からなかったんだけど、彼女がその扉を開いてくれました。





13. Jvlian - Crisis


アルゼンチン・ブエノスアイレスのヒップホップ集団。とにかく自由でカッコイイんだけど、ジャズやソウルをミックスした確かな技巧の土壌があってのことなのだと聴きながら感心しちゃう。ラップスキルはもちろん、ビートの肝となるドラムスの存在感も忘れてはいけない。"Sujeto a Espacio"の途中でいきなりフリースタイルになる所が個人的ハイライトです。





12. Rubio - Pez


チリのバンドMiss Garrison(現在は活動休止)でヴォーカル/ドラムスを務めていたFran Straubeのソロプロジェクト。ダークで実験的なエレクトロポップ路線や彼女の持つダウナーで耳に残る声質(ほんとにいい声してる)も相まって、一瞬Niki and the DoveやThe Knifeあたりの北欧のアーティストを想起させますが、彼女はラテンだけでなくアジアンな音使いも取り入れたりもしていて無国籍なサウンドスケープを展開しています。バンド時代も好きだったけど、ソロになってのこの新境地開拓はとても嬉しい。





11. Francisco Victoria - Prenda


女性アーティストが強いチリのエレクトロポップシーンの中でニューカマー男子が現れてくれました。チリ南部のアラウカニア州(Araucanía)出身の弱冠22歳。14歳から曲を書き始めた彼は18歳で学校を辞め、地元を出てチリの首都サンチアゴで本作のプロデューサーであるAlex Anwandterが主催するワークショップに参加したことがきっかけでデビューを果たしたという逸話の持ち主。
とことんポップでメランコリックなサウンドに、甘い歌声とマスクの持ち主とデビュー作としてはもう完璧。ちょっとAlex Anwandter色が強いところもありますが、今後どう化けるか。早くも先が楽しみな期待の新星です。