Oh Land - Wishbone


デンマーク出身で現在ブルックリンを拠点に活動中の女性SSW、Oh Landの3rdアルバムです。
今年の夏には、かねてより公私にわたるパートナーとしてデビュー時より彼女の作品のアートワークを手掛けている美術作家のEske Kathと遂に結婚したそうで、非常におめでたい!


今作のアートワークはタイトルからも分かるように「骨」が象徴的に描かれています。先行シングル"Pyromaniac"(=放火癖)でも、曲タイトルや歌詞そのままに、家が燃えていて、そこから焼死したであろう2人の人間の骸骨が踊っているというイメージで、アルバムのブックレットの裏表紙にも出てきます。死んでるのに生き生きしてる(ように見える)という不思議な画なので、「死」と一言で片付けるよりは、生から解放された魂のような印象。
そういえば前作"Oh Land"のアートワークは「家」がモチーフでしたが、燃えているのはもしかして…?と思わず色んな想像をめぐらせてしまいます。



ちなみに"Wishbone"とは、鳥の叉骨(ヒトでいう左右の鎖骨にあたる部分がYの字にくっついた骨)のことで、食事の後に残ったこの骨の両端を2人で引き合って、長い方を取った人の願い事が叶うという迷信があり、英国ではMerrythoughtとも呼ばれているようです。
そんな具合で勝手な詮索と解釈を進めながら聴き直してみると、紙一重の存在である生と死/喜びと哀しみが渾然一体となった作品なのかなあと思いつつ、鎮魂歌のように幾重にも重なるコーラスワークにグッときます。
…と思いきやR&B色の"My Boxer"ではラップを披露したり、"Renaissance Girls"や"Pyromaniac"のビデオクリップは彼女のワイルドで自由奔放な一面も垣間見えたりと、前作以上にバラエティに富んだ一枚になっています。




Wishbone

Wishbone




余談ですが、外仕事ではフランスのプロデューサーYuksekが今年立ち上げたレーベルPartyfineの第1弾リリースとして彼女とのコラボ曲"Last of Our Kinds"を発表しています。こちらもかなりの良曲なので合わせてどうぞ。



Partyfine EP#1

Partyfine EP#1