Stromae - Racine Carrée


ベルギーの男性ラッパーStromae、前作"Cheese"から3年ぶりとなる2ndアルバムです。
2009年にシングル"Alors On Danse"がヨーロッパを中心に大ヒットを記録し、しばらくのブランクを空けてのリリースということで、このまま一発屋になってしまうのではないかと思っていました。しかしそんな心配を吹き飛ばすかのように発表された2枚の先行シングル"Papaoutai"と"Formidable"がどちらも出色のクオリティで、ほどなくリリースされたこのアルバムもベルギー、フランス、スイスで1位を獲得し、見事に"2枚目のジンクス"を打ち破る結果となりました。



"平方根"を意味するアルバムタイトルを入口に、彼自身の人生のルーツに関わるようなテーマの楽曲も散見され、エレクトロポップの皮を被りつつも非常にシリアスな内面を抱えたアルバムのように思えます。

中でもリードトラックである"Papaoutai"の曲タイトルは"Papa où t'es"(=Dad, where are you?/お父さん、どこにいるの?)の語呂をもじったもので、文字通り父親について歌った曲です。
ベルギー人の母親とルワンダ人の父親との間に生まれたStromaeですが、父親は彼が幼い頃に家族を置いて母国に帰り、その後1994年にルワンダで発生したジェノサイドの犠牲者となっており、実体験に基づくものであるといえます。
MVでは親子が何組か出てきますが、蝋人形のように動かない主人公の父親をStromae本人が演じており、かなり真に迫るものを感じます。
いくつかのテレビ番組ではこのMVを再現したようなパフォーマンスも披露しており、こちらも是非合わせてご覧いただきたいです。(バックダンサーが多めのバージョンなんかもあります)



"Formidable"は女性に振られた男性の心情を描いたような楽曲で、MVでは小雨の降る真っ昼間のブリュッセルの街に酩酊状態で佇む彼の姿が遠巻きに映し出されています。



Racine Carree

Racine Carree