Roisin Murphyのここ数年の活動変遷を振り返る


5月に約7年半ぶり(!!!)となる3rdアルバム"Hairless Toys"をリリースしたばかりのRóisín Murphy (ex. Moloko)。全英アルバムチャートで初登場19位を記録し、メジャー音楽シーンに久方ぶりの帰還を果たした彼女ですが、この8年近くの期間は決して何も音沙汰が無かったわけではなく、出産などのパーソナルなイベントを挟みつつも毎年ひっそり且つコンスタントに音楽活動を続けていました。



♪ Róisín Murphy - Hairless Toys (Amazon)


2ndアルバム"Overpowered"以降にリリースされた"Orally Fixated"や"Momma’s Place"といったシングル群もすでに懐かしい存在ですが、個人的に印象的だったのは、Viktor & Rolfの2010年S/Sコレクションでしょうか。楽曲はイタリア出身のエレクトロデュオCrookersのアルバム"Tons of Friends"に客演で参加した2曲を歌唱していましたが、"Overpowered"のアルバムにおけるビジュアルの世界観にも繋がる奇抜な衣裳が何よりもソークールでした。
2011年以降は客演ボーカルとして多くのアーティストの作品に参加していましたが、彼女自身の名義での楽曲は"Simulation"のみに留まります。いずれもフロア向けのリリースの模様。(英語版Wikipediaのディスコグラフィ参照)



また、昨年5月には全編イタリア語のカバー曲で構成されたEP"Mi Senti"をリリースしていますが、そのあまりにも唐突な謎の舵切りには困惑したものです。



…という具合で、今年に入っての"Hairless Toys"に至るわけですが、これに隠れて少し遡ること3月にはアルバム未収録の新曲"Jealousy"がリリースされています。そしてこの2バージョンあるタイトルトラックのうち、11分超という大作のDisco Mixがこれまたとんでもないキラーチューンでおったまげました。Moloko在籍時の1999年にリリースされ、世界中のフロアを沸かせた"Sing It Back"と肩を並べるほどに出色の出来だと言いきれます。40代に突入したRóisín Murphyのキャリア史上一番賑やかなディスコナンバーなのではなかろうか……。
しっとり落ち着いた大人の雰囲気を帯びた新作アルバムとは全く毛色が異なるのは言うまでもありませんが、ぜひ合わせて聴いていただきたい。



♪ Róisín Murphy - Jealousy (Amazon)



もちろん"Hairless Toys"が名盤であることも記しておきます。熟成された大人の女としての味わい深さのようなものがいい具合に滲み出たアルバムです。