BEST OF 2016 (PT.2)


REPOOOOORT BEST OF 2016
PT.2 : BEST ALBUMS (REST OF THE WORLD)




10. Kobra Kei - Inspired By the Producer


アルゼンチンの“コブラ系”女子。南米らしからぬ鋭さを持つビジュアルに、ポストインターネット〜SNSネイティブ世代ど真ん中なMV、過度にエフェクトの掛かった奇天烈ボーカル。“今っぽい”と安易に言ってお終いにはできない印象に残るアルバムです。南米の広大な海岸が空から大写しにされるカメラワークに息を飲む“La Punta”のMVも必見。





9. Sophie Ellis-Bextor - Familia


前作“Wanderlust”(名盤)に引き続きEd Harcourtプロデュースのアコースティック路線の新作ということで、2枚合わせて姉妹のような並びの印象。アルバムタイトルや色彩豊かな東欧フォークロア感満載のアートワークに象徴されるように、よりアットホームで穏やかな雰囲気になってます。“Come With Us”など初期を彷彿とさせるダンサブルな楽曲もありつつ、全体的なアレンジはあくまでバンドサウンド基軸。
個人的にはMVの監督で長年タッグを務めているSophie Mullerによるビジュアルが本当に大好きで、“Crystallise”のMVなんかもう、着実にいい年の取り方をしている彼女のベストな状態が撮れてて、バラードの楽曲も相まってちょっと感動すら覚えます。





8. Yeasayer - Amen & Goodbye


サイケでストレンジ、だけどポップという絶妙な塩梅。2016年明けて結構すぐの時に“I Am Chemistry”のMVが発表された時の衝撃をなかなか結構引きずってしまった。ちょうど前作と前々作を立て続けに中古CD店で見つけて聴き込んでたタイミングだったからかもしれない。





7. Kali Mutsa - Mesmer


南米・チリの女優Celine Reymondによる音楽プロジェクト。現代の民族音楽として、ある特定の地域に限らないボーダレスなエスニシティの混沌を成立させた2014年リリースの1stアルバム“Souvenance”は、もはや女優が片手間でやる音楽活動の域を優に越えていて非常におったまげました。以降も昨年リリースのリミックスEPからますますコンセプチュアルな世界観を拡大し、今作のEPで遂に宇宙まで到達してしまった。
三白眼をモチーフとしたトライバルなベースミュージック“Sanpaku”では大胆にもアニメ「鋼の錬金術師」の名言《君のような勘のいいガキは嫌いだよ》使用シーンがサンプリングされてて超絶クールです。





6. Little Jinder - Allting Suger


メジャー進出以降スウェーデン国内で大躍進を見せたLittle Jinderですが、今年もアルバムリリースに始まり、人気リアリティ番組“Så mycket bättre”への出演など話題に事欠かない一年だった模様。《Everything Sucks=何もかも最低》という意味を持つアルバムタイトルや奇妙なアートワーク、そして先行シングル“Hångellåten”の「都会の片隅で行き場を失くす女子」像を描いたようなどこか加藤ミリヤ的アプローチが印象的な本作。浮遊感のあるアレンジやボーカルはいつも通りですが、“Super 8”のようなアップテンポな楽曲が久々に聴けて嬉しい。
そしてMVはまさかの東京ロケ!日本でもプロモーションしてくれ!!!





5. Brodka - Clashes


Play It Again Samと契約し、満を持して全編英語詞のアルバムで世界デビューを果たしたポーランドのBrodka嬢。2010年リリースの前作“Granda”がとんでもない傑作だったこともありリスナー的にはかなり身構えたけど、全くの杞憂でした。キュートでエキセントリックな魅力は健在。世界はもっと彼女の魅力に気付くべきだと思います。以上。





4. Polycat - 80 Kisses


タイの80年代リスペクト系シンセポップ?いやいや……と思って聴いてみたらめちゃんこツボで見事に恋に落ちたような気分です。いやしかしこのPolycatに限らず、メジャー/インディー問わずタイのポップスシーンは非常に層が厚いし面白い人たちがいっぱいいて本当に良い発見をしました。





3. D∆WN (Dawn Richard) - Redemption



Danity Kane(かつて存在したアメリカのガールグープ)のことは全く知らなかったので、Dawn RichardとDumblonde(エレクトロ女子デュオ)が同じグループに在籍してたのにも驚いた。どっちも解散してからの方が良い仕事してるような気がする。
最近ではVR対応の体験型MVを発表するなど去年あたりから一気にアートな側面を強めてきた彼女ですが、Björkとはまた異なるアプローチで着実にサイバー歌姫と化しつつあります。その他アルバム未収録の“Not Above That”“Calypso”あたりのMVで見られるVaporwaveやシーパンクを通過したディストピア感とのマッチングの妙、まだまだこの辺のトレンドは形を変えながら続いていくんだな。





2. Roísín Murphy - Take Her Up To Monto



前作“Hairless Toys”が実に7〜8年ぶりのアルバムだったからそりゃあ楽曲のストックもたんまりあるでしょうよ……とは少しだけ思ってたけど、まさか1年で新作をぶっ込んでくるとは。MVも自ら監督し始めてからクリエイティビティに磨きがかかってやしませんか。もはや形容する前例や比較対象のいない唯一無二の境地。しかも本作は大好きなThe Designers Republicアートディレクションをしてて、まさかMolokoの2ndアルバム“I Am Not A Doctor”(1998年リリース)以来のタッグが2016年に実現するなんて。生きててよかった。





1. Niki and the Dove - Everybody’s Heart Is Broken Now


2012年リリースの前作“Instinct”が結構重めだったし、スウェーデンには似た声質のThe Knifeがいたりもしたから、ウィッチハウスのような更に暗い方面に行くのかなと思いきや、蓋を開けるとだいぶ角が取れて力の抜けた印象のアルバムに仕上がってて安心しました。前作が陰なら今作は陽かな?MV3部作もアーバン〜リゾートを行き来する雰囲気で統一されていて、確かにVaporwave的でもあるけど、ポップスとしてきちんと昇華されてるのが彼らのすごいとこ。
おどけたようなシンセの音や後半で聴かせるシャウトが何とも陽気な“Shark City (Tropico X)”や、イントロのピアノの音色に思わずハッとする“Brand New”などなど新たな一面が随所で垣間見えます。一聴すると地味かもしれないけど、実はとんでもない名盤ではなかろうか…?ということで、個人的洋楽ベストアルバムはこちら。