TRACK OF THE YEAR 2014 (20-11)




【BEST OF 2014】
1. ALBUM OF THE YEAR ( 20-11 | 10-1 )
2. EP OF THE YEAR ( 5-1 )
3. TRACK OF THE YEAR ( 20-11 | 10-1 )


20. きゃりーぱみゅぱみゅ - ゆめのはじまりんりん

(Kyary Pamyu Pamyu - Yume no Hajima Ring Ring)


昨年リリースの2ndアルバム"なんだこれくしょん"までの初回盤で採用されていた、縦型の写真集ブックレット的なパッケージングが非常に好きだった身としては、それ以降のDVD付きシングルへの移行は少し残念に思っていました。それもあってか今年リリースされた新作"ピカピカふぁんたじん"についてもあまりピンと来なかったんですが、自分は彼女のコンセプチュアルですごく奇天烈なビジュアルを作品ごとに毎回きちんと見せる姿勢が好きだったんだなあということに気付きました。しかしながら楽曲はデビュー期ほどのインパクト性はないにしろ、相変わらずの高い水準をキープしているように思えます。
彼女の楽曲は例えば"CANDY CANDY"のような、背後にほんのり切なさの影を落とすような所にグッと来ることが多く、この曲も例に漏れずその系譜を感じます。しかも卒業ソングとなればもう間違いない。シンプルな曲構成なのに何故か泣ける。MVでは過去の楽曲で使われた衣装(意匠)が随所に盛り込まれていて、べつに彼女がこの時実際に何かから卒業するとかそういうわけではなかったにもかかわらず、思わずじんわりと沁み入ってしまうのでした。





19. Javiera Mena - La Joya


ジャケット写真からもご察しの通り「宝石」を意味するタイトルのシングル。アルバム"Otra Era"の中で聴くとわりかし地味な印象を受けてしまうこの曲ですが、2回目のサビ以降に盛り上がりをみせる曲展開が非常にユニークです。楽曲のフィーリングとしてはひとつ前のアルバム"Mena"に収録されてても違和感がなさそうなアレンジで、彼女のファミリーネームでもある"Mena"が「鉱石」という意味を持つことからも、この楽曲ももしかしたら少なからずリンクしていた(前作の収録曲から漏れた楽曲だった?)のではないかと推測しています。





18. Afterschool - Shh


K-POPユニット×日本人プロデューサー(大沢伸一)×UKハウス、という異種格闘技的な組み合わせの一曲。
モノクロを基調としたシンプルな見せ方のビジュアルのMV(これ、地味にライティング技術がすごいと思う)がかなり印象的だったのですが、ひたすらに華やかなエンターテインメント性を求めるK-POPの土俵では完全に勝負できない(orする気がない)玄人向けじみた感じが潔い。そりゃあもうお金をつぎ込みさえすれば派手に飾り立てることなんていくらでも可能で、じゃあそれらを削ぎ落としたときに残るものでこのグループとしてきちんと勝負できるのかどうか、ということを示した、戦略丸無視のひとつの賭けのようにも思えます。





17. Linnea Henriksson - Du söker bråk, jag kräver dans

(ENG: You're Looking for Trouble, I Demand Dance)


スウェーデンの女性SSW、同タイトルのアルバムからのリードシングル。ガーリーなスウェディッシュポップの様相を呈した前作"Till Mina Älskade Och Älskare"から打って変わってのエレクトロ路線に華麗なるシフトチェンジを遂げ、2枚目にして早くも彼女の新たな一面をのぞかせる意欲作と相成りました。いやあ、攻めてます。しかし、歌詞の最初辺りに何故かFrank Oceanの名前が出てくるのは何か意味があるのだろうか。スウェーデン語はほとんどさっぱり分からず、楽曲を聴くときは歌詞の解読に難航しながら聴くのがひとつの楽しみだったりします。





16. Najwa - Feed Us


"Rat Race"以前にリリースされた全編スペイン語詞の全2作がどちらかというと実験作的要素が強いものだったので、リードシングルとなったこの楽曲でようやくポップな側面に戻ってきてくれたぞ、という印象でした。とはいえ10年以上前にトリップホップをやっていた頃から比べるとかなりダークな方向へ突っ走ってはいますが、年齢に合わせて様々に化ける(あるいは演じる)ことができるスキルの妙はさすが女優。やはり何度聴いてもBlack Cherry期のGoldfrappを彷彿とせざるを得ないのですが、この年齢を感じさせない魔女感がGoldfrappと彼女の双方における共通項であることに鑑みると、退廃的ダークエレクトロ路線に間違いはないと確信するに至るのです。





15. Metronomy - Reservoir


これはもうイントロで完全に恋に落ちました。シンセのフレーズが印象的な楽曲は前作でいうところの"Corrine"のようではありますが、メンバー4人がボーカルを取るバンドサウンド寄りな"Corrine"とは対照的に、メインボーカルであるJosephが滔々と歌う非常にシンプルな音作りの楽曲です。そしてMVのアニメーションがこれまた楽曲と最高の相性でとても好きです。
一方Jacques Lu Contによるリミックスでは原曲の持ち味を爽快なまでに跡形も残さない王道4つ打ちエレクトロに料理されています。こちらも合わせてどうぞ。





14. Oh Land - Head Up High


自分の中で彼女の作る音楽には(陳腐な表現をするならば)おもちゃ箱をひっくり返し、自由に飛び跳ね動き回る子どものようにのびのびとしたイメージを持っていたけど、ここまでシリアスモードのOh Land嬢はなんだか珍しいような気がします。でもすごく北欧らしい、というよりはもっと限定的にデンマークらしい(し結局のとことやっぱりOh Landらしいって思っちゃう)独自の空気感を持つ正統派エレポップチューンです。





13. Kimbra - 90s Music


Kimbra姉さんパネエっす。ベースミュージックとの邂逅とは意外な組み合わせかと思いきや、彼女のエキセントリックな魅力に拍車をかけ(すぎ)る結果に。Late Show with David LettermanでのパフォーマンスDJ ShadowとSalvaによるリミックスのビデオエディットも合わせて観て欲しい。
そして何よりもこの90sレペゼンな一曲がある意味では今年の音楽のトレンドのひとつの側面を象徴するような楽曲として不思議な輝きをもってして位置づけられてもおかしくないと思います。





12. Rebecca & Fiona - Candy Love


何度聴いても鬱状態に陥っているかのような殺伐とした楽曲です。あるいは歌詞にも出てくるように、オーヴァードーズになって自暴自棄の一歩手前な(かなりキマッてる)状態のような何とも危うい香りのする空気で満たされています。楽曲のタイトルと2人のビジュアルに騙されて聴いて痛い目に遭った人がいるかどうかは分かりませんが、このメジャーレーベル所属の女性2人組ユニットにしては全然可愛くない(色んな意味での)ヤバさが彼女たちの持ち味になっているのがとても面白い。





11. SOPHIE - Lemonade


PC Music一派が音楽シーンに流れるひとつの異質な潮流としてより広く認知されるようになった2014年。その筆頭としてDazed and Confused MagazineでのきゃりーぱみゅぱみゅへのインタビューBoiler RoomでのDJパフォーマンスなどなど、今年も数多くの謎と驚きを与えたSOPHIE。昨年のTRACK OF THE YEARの第1位に置きました"BIPP"に続くシングルも相変わらずドープ。約2分の短い時間ながら中毒性の高い楽曲です(逆にもっと尺があったら致死量なのかもしれない)。





【BEST OF 2014】
1. ALBUM OF THE YEAR ( 20-11 | 10-1 )
2. EP OF THE YEAR ( 5-1 )
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